心に灯り仄かにさし Faint in the heart of light

思い出から書いた

運転免許証を取得し、親父のスカイラインを譲ってもらい、アルバイトもして自分で自由に使えるお金が増えた。
誰かと一緒という制約が減り、一人での時間と移動距離が飛躍的に拡大した。

葉山の秋谷にレストラン マーロウはあった。
料理がおいしいことは勿論、その落ち着いた雰囲気が大好きだった。

ある時、料理の提供スピードに迷惑をかけるぐらい話に夢中になり、会話を楽しんでいたことがある。
大声で騒いでいたのではない。
その時、フロアを取り仕切る方に声をかけられた。

「お話を楽しむことはもちろん、料理も楽しんでください」

そんな事が会話のきっかけになった。
その方が6か国語を自由に操る多才な方であること。
その所作は男として美しく、素晴らしかったこと。

例えば、会話のなかに絶妙なタイミングで言葉を差し込むセンス。
そして、どこまでも紳士的であったこと。
当時二十歳そこそこの若造には、なにひとつ持ち合わせていないものばかりだった。

1990年ごろのことだ。

夏は少し早い時間に夕食を終える。
秋谷の景色は美しく、公園から沈む夕陽を眺める。



名残惜しく沈むその夕陽を見ながら、江の島方面に向けて海沿いをドライブする。

今、同店は大きく発展し、そのメイン商品であるプリンは各地へ進出し大盛況だ。
転勤で各地に勤務したが、どこへ行ってもプリンを贈答品にするととても喜ばれた。

若造の背伸びだったと思う。

全然つながりはないのだが、Elvis Costello & Burt Bacharachのアルバム「Painted From Memory」を聴いていて思い出したのだ。
タイトルを直訳すれば「思い出から書いた」である。

https://www.marlowe.co.jp/